物事を学ぶにしても教えるにしてもいろいろな方法がありますが、指導者としては段階を踏まえた指導法を知っておくべきです。
電話番号を覚えることを例に考えてみましょう。例えば、PTRの電話番号を「18037857244」と書かずに、「1-803-785-7244」と書くのはなぜでしょう?電話会社が調査をした結果、人間は7桁のひとまとまりの数字を覚えるより、いくつかにわけて覚えたほうが長い番号でも覚えやすいということがわかりました。
人間の脳は、ある情報を大きな塊として記憶するより、いくつかに細分化して記憶した方がより理解しやすくできているのです。歴史であれ、数学であれ、その他どんな科目でも段階的に学んだ方が学習効果は上がるのです。
PTRの「スタンダード・メソッド(標準テニス指導法)」は、積み木を積み上げる方法を用いています。つまり、生徒は細かく区切られたステップを踏むことにより、生体力学的に裏付けのあるしっかりとした打ち方を身につけることができるのです。
また、「スタンダード・メソッド」を理解したPTRのプロは、生徒の能力や技術レベルに差があっても適切な指導ができるようになります。覚えの早い人に対してはあまり細かな段階を踏む必要はないでしょうし、逆に覚えの遅い人には、さらに細かく区切っての指導が必要になるかもしれません。いずれの場合でも、生徒はそれぞれの目標が達成できる満足感を得られるのです。
しっかりとしたテニスのストロークはすべて物理学や生体力学の原理原則にのっとっています。「スタンダード・メソッド」は、全てのストロークに共通した科学的な要素をもとに構成されていますが、各個人のスタイルを画一化しようとするものではありません。バックハンドを両手で打つ人も片手で打つ人もいるでしょう。フォアハンドのテークバックもループであったりストレートであったりするでしょう。
PTRのプロは、生徒に特定のスタイルを押しつけることはありません。しっかりとした基本の習得を強調し、個性を尊重します。ですから、PTRのプロの指導をしっかりと受けた生徒は、他の指導者からその人独特の指摘であったり、相反するようなアドバイスを受けたとしても悩むことはないでしょう。
なお、PTRのプロとして認定を受けるためには、「スタンダード・メソッド」にそったレッスンのデモンストレーションが必要です。レッスンでは、生徒の打ち方全体を見て、それぞれの必要に応じたパーツにストロークを分解。生体力学的にしっかりとした基本を踏まえ、個人やグループへの対応ができるかどうかを見ます。
そして受験者は、このようなことを基本に生徒とコミュニケーションを取るようにはかったり、エラーを発見したり、矯正したり、それぞれの個性を十二分に発揮して指導をおこなうのです。
PTRの試験を受ける方々には、個人の持てる能力を最大限に発揮していただくわけですが、試験自体は受験者全てに公平で平等な評価を下せるようになっています。世界中どこで受験しても、同じ内容に関して評価が下されるようになっています。 PTRは、標準化された内容の試験によって公平な試験を行う唯一のテニス団体です。もし、試験の内容がさまざまであったとしたら、認定の方法は試験官の主観によるところが多くなってしまうでしょう。そうなると、受験者にとって不公平であるばかりか、認定試験自体が意味をなさなくなってしまう恐れがあります。
「スタンダード・メソッド」の素晴らしさは、優れた論理性のみならず、多くの指導者の実績がそれを物語っている点です。PTRの指導法をもとに指導を受けた方たちの上達の早さや確実な上達を見れば、しっかりとした指導方法というものは、科学を基盤に注意深く積み上げられる積み木のようなものであるといえます。
PROFESSIONAL TENNIS REGISTRY
Dennis Van der Meer (Founder)